FXに取り組んでいるとダウ理論という言葉を聞いたことがあるでしょう。

100年以上前より展開されている理論ですが今でも重宝されトレーダーが学ぶべき基礎となるものとされます。

しかし、ダウ理論という言葉は知っていてもそれを説明できる人は多くはないでしょう。

ダウ理論は6つの提言より成り立っていますので

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トレンドの継続と転換

ダウ理論はもともとFX向けに提唱されたものではありませんが、もともと相場の世界を生き抜くために相場の本質を把握するための分析であり、FXでも十分に活かすことのできる考え方です。

ダウ理論の6つの法則を理解すれば含み損も少なく、絶好のエントリーポイントを発見することもできるとされます。

この記事ではダウ理論の6つの法則のうち、3つの法則を掘り下げて紹介します。


ダウ理論 6つの法則(前編)

①価格は全ての事象に織り込む

「価格はすべての事象に織り込む」とは、一言でいえば「チャート分析のみで未来を予測できる」ということです。

例えばまだ記憶に新しい、2019年1月のアップルショックが要因とされる、ドル円の急暴落。

一日で400〜500pipsも動いたこの相場で強制ロスカットを食らった方も少なくないでしょう。

アップルの売上下方修正発表等を察知してこの結果を予想するのは不可能かもしれません。

しかしチャート的にはペナントというパターンが形成されており、ブレイクを今か今かと待ち望んでいる状態でした。

仮にアップルショックを予想できなかったとしてもチャートパターン的に下方向に大きく動く兆候は察知できたわけです。

これがチャートの値動きで未来が見える、とてもわかり易い例です。

チャートの値動きで未来を予測するということはいわばテクニカル分析ですね。

では、要人発言や経済指標などをもとに相場を予想するファンダメンタルズ分析は無視していいのか?という話になります。

ダウ理論の「価格は全ての事象に織り込む」の項目にこのような記述があります。

政府が発表する経済統計や企業の業績・更には自然災害の様な予測不可能な事象に至るまで、需給に関するあらゆる事象は全て市場価格に織り込まれる。市場価格はあらゆるファンダメンタル(材料)の反映であるという考えであり、その意味で効率的市場仮説の主張に基づいた考えとも言える。

wikipedia ダウ理論 より引用(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%82%A6%E7%90%86%E8%AB%96

つまり全てのファンダメンタル材料はすでにチャートに織り込まれているということになります。

しかしだからといってファンダメンタルズ分析は不要ということではありません。

チャートがどのように動くかはテクニカル分析で予測し、ファンダメンタルズ分析で相場の始動を見極めるといった使い方ができます。


②平均は相互に確認されなければならない

ドルインデックス(TraidingView)

こちらは「ある通貨ペアにてトレンドが発生したときに、関連性の高い通貨ペアやインデックスでも同様のトレンドが発生していれば、より根拠の強いトレンドだと判断できる」ということです。

例えば英ポンド/米ドル(GBP/USD)のチャートにて下降トレンドが発生したときに、ユーロ/米ドル(EUR/USD)でも下降トレンドが確認できれば、エントリーの判断材料として強い根拠を持つことができます。

このようにエントリーする通貨ペアの片方(今回の例だと米ドル)が含まれる、別の通貨ペアを見比べるのです。

相関の強い各ペアを確認して方向性の確信を高めていくことがダウ理論の「平均は相互に確認されなければならない」ということになります。

関連するチャートとしてインデックス(指標)をチェックすることも有効です。

例えばドルの単純な強さを表すドルインデックス。

こういった指標と方向性が同様に動いていればエントリー判断のより強い根拠になると言えます。


③トレンドは出来高でも確認されなければならない

出来高とは、取引されている総量を指します。

これが多ければ多いほどほど値動きに影響を与えるという考え方です。

相場が上昇しているにも関わらず出来高が大したことない相場は、ロングポジションを持つ人が多いということではなく、少ない取引量の中で相対的に見てロングポジションを持つ人が多いというだけで信用の高いトレンドが発生しているとは言えません。

逆を言えば取引総量(出来高)が多い中で上昇の勢いが強ければ信用度の高いトレンドだと判断することもできます。

しかしこの法則に関しては他の6つの法則と違い、FXに応用を聞かせるのは難しいといえます。

それはなぜか?

前述したとおりダウ理論で前提となっているのは株式取引であり、株式の世界では取引される場所が1つに集約されています。

日本の場合、全ての取引は東京証券取引所を介して行わなければ売買できません

すべての取引が1つの取引所に集約されるため出来高がリアルタイムで把握できます。

しかしFXの世界では銀行や証券会社がそれぞれ直接売買しているため、すべての取引データを集約してリアルタイムで把握することができません。

取引会社によってはその会社内での出来高というものを公表しているものもありますが、それをトレードに応用をきかせて取り入れるのは初心者には難しいです。

自分のトレード手法が安定してきて次のステップアップに必要だと感じられてきてから出来高や取引量を意識して分析に取り入れてみてください。